詩篇77-78 ; ローマ10

詩篇

第77篇

77:1わたしは神にむかい声をあげて叫ぶ。
わたしが神にむかって声をあげれば、
神はわたしに聞かれる。
77:2わたしは悩みの日に主をたずね求め、
夜はわが手を伸べてたゆむことなく、
わが魂は慰められるのを拒む。
77:3わたしは神を思うとき、嘆き悲しみ、
深く思うとき、わが魂は衰える。〔セラ
77:4あなたはわたしのまぶたをささえて閉じさせず、
わたしは物言うこともできないほどに悩む。
77:5わたしは昔の日を思い、
いにしえの年を思う。
77:6わたしは夜、わが心と親しく語り、
深く思うてわが魂を探り、言う、
77:7「主はとこしえにわれらを捨てられるであろうか。
ふたたび、めぐみを施されないであろうか。
77:8そのいつくしみはとこしえに絶え、
その約束は世々ながくすたれるであろうか。
77:9神は恵みを施すことを忘れ、怒りをもって
そのあわれみを閉じられたであろうか」と。〔セラ
77:10その時わたしは言う、「わたしの悲しみは
いと高き者の右の手が変ったことである」と。
77:11わたしは主のみわざを思い起す。
わたしは、いにしえからの
あなたのくすしきみわざを思いいだす。
77:12わたしは、あなたのすべてのみわざを思い、
あなたの力あるみわざを深く思う。
77:13神よ、あなたの道は聖である。
われらの神のように大いなる神はだれか。
77:14あなたは、くすしきみわざを行われる神である。
あなたは、もろもろの民の間に、その大能をあらわし、
77:15その腕をもっておのれの民をあがない、
ヤコブとヨセフの子らをあがなわれた。〔セラ
77:16神よ、大水はあなたを見た。
大水はあなたを見ておののき、淵もまた震えた。
77:17雲は水を注ぎいだし、空は雷をとどろかし、
あなたの矢は四方にきらめいた。
77:18あなたの雷のとどろきは、つむじ風の中にあり、
あなたのいなずまは世を照し、地は震い動いた。
77:19あなたの大路は海の中にあり、
あなたの道は大水の中にあり、
あなたの足跡はたずねえなかった。
77:20あなたは、その民をモーセとアロンの手によって
羊の群れのように導かれた。

第78篇

78:1わが民よ、わが教を聞き、
わが口の言葉に耳を傾けよ。
78:2わたしは口を開いて、たとえを語り、
いにしえからの、なぞを語ろう。
78:3これはわれらがさきに聞いて知ったこと、
またわれらの先祖たちが
われらに語り伝えたことである。
78:4われらはこれを子孫に隠さず、主の光栄あるみわざと、
その力と、主のなされたくすしきみわざとを
きたるべき代に告げるであろう。
78:5主はあかしをヤコブのうちにたて、
おきてをイスラエルのうちに定めて、
その子孫に教うべきことを
われらの先祖たちに命じられた。
78:6これは次の代に生れる子孫がこれを知り、
みずから起って、そのまた子孫にこれを伝え、
78:7彼らをして神に望みをおき、
神のみわざを忘れず、その戒めを守らせるためである。
78:8またその先祖たちのようにかたくなで、
そむく者のやからとなり、その心が定まりなく、
その魂が神に忠実でないやからと
ならないためである。
78:9エフライムの人々は武装し、弓を携えたが、
戦いの日に引き返した。
78:10彼らは神の契約を守らず、
そのおきてにしたがって歩むことを拒み、
78:11神がなされた事と、
彼らに示されたくすしきみわざとを忘れた。
78:12神はエジプトの地と、ゾアンの野で
くすしきみわざを彼らの先祖たちの前に行われた。
78:13神は海を分けて彼らを通らせ、
水を立たせて山のようにされた。
78:14昼は雲をもって彼らを導き、
夜は、よもすがら火の光をもって彼らを導かれた。
78:15神は荒野で岩を裂き、
淵から飲むように豊かに彼らに飲ませ、
78:16また岩から流れを引いて、
川のように水を流れさせられた。
78:17ところが彼らはなお神にむかって罪をかさね、
荒野でいと高き者にそむき、
78:18おのが欲のために食物を求めて、
その心のうちに神を試みた。
78:19また彼らは神に逆らって言った、
「神は荒野に宴を設けることができるだろうか。
78:20見よ、神が岩を打たれると、
水はほとばしりいで、流れがあふれた。
神はまたパンを与えることができるだろうか。
民のために肉を備えることができるだろうか」と。
78:21それゆえ、主は聞いて憤られた。
火はヤコブにむかって燃えあがり、
怒りはイスラエルにむかって立ちのぼった。
78:22これは彼らが神を信ぜず、
その救の力を信用しなかったからである。
78:23しかし神は上なる大空に命じて天の戸を開き、
78:24彼らの上にマナを降らせて食べさせ、
天の穀物を彼らに与えられた。
78:25人は天使のパンを食べた。
神は彼らに食物をおくって飽き足らせられた。
78:26神は天に東風を吹かせ、
み力をもって南風を導かれた。
78:27神は彼らの上に肉をちりのように降らせ、
翼ある鳥を海の砂のように降らせて、
78:28その宿営のなか、そのすまいのまわりに落された。
78:29こうして彼らは食べて、飽き足ることができた。
神が彼らにその望んだものを与えられたからである。
78:30ところが彼らがまだその欲を離れず、
食物がなお口の中にあるうちに、
78:31神の怒りが彼らにむかって立ちのぼり、
彼らのうちの最も強い者を殺し、
イスラエルのうちのえり抜きの者を打ち倒された。
78:32すべてこれらの事があったにもかかわらず、
彼らはなお罪を犯し、
そのくすしきみわざを信じなかった。
78:33それゆえ神は彼らの日を息のように消えさせ、
彼らの年を恐れをもって過ごさせられた。
78:34神が彼らを殺されたとき、彼らは神をたずね、
悔いて神を熱心に求めた。
78:35こうして彼らは、神は彼らの岩、いと高き神は
彼らのあがないぬしであることを思い出した。
78:36しかし彼らはその口をもって神にへつらい、
その舌をもって神に偽りを言った。
78:37彼らの心は神にむかって堅実でなく、
神の契約に真実でなかった。
78:38しかし神はあわれみに富まれるので、
彼らの不義をゆるして滅ぼさず、
しばしばその怒りをおさえて、
その憤りをことごとくふり起されなかった。
78:39また神は、彼らがただ肉であって、
過ぎ去れば再び帰りこぬ風であることを
思い出された。
78:40幾たび彼らは野で神にそむき、
荒野で神を悲しませたことであろうか。
78:41彼らはかさねがさね神を試み、
イスラエルの聖者を怒らせた。
78:42彼らは神の力をも、
神が彼らをあだからあがなわれた日をも
思い出さなかった。
78:43神はエジプトでもろもろのしるしをおこない、
ゾアンの野でもろもろの奇跡をおこない、
78:44彼らの川を血に変らせて、
その流れを飲むことができないようにされた。
78:45神ははえの群れを彼らのうちに送って彼らを食わせ、
かえるを送って彼らを滅ぼされた。
78:46また神は彼らの作物を青虫にわたし、
彼らの勤労の実をいなごにわたされた。
78:47神はひょうをもって彼らのぶどうの木を枯らし、
霜をもって彼らのいちじく桑の木を枯らされた。
78:48神は彼らの家畜をひょうにわたし、
彼らの群れを燃えるいなずまにわたされた。
78:49神は彼らの上に激しい怒りと、憤りと、
恨みと、悩みと、滅ぼす天使の群れとを放たれた。
78:50神はその怒りのために道を設け、
彼らの魂を死から免れさせず、
そのいのちを疫病にわたされた。
78:51神はエジプトですべてのういごを撃ち、
ハムの天幕で彼らの力の初めの子を撃たれた。
78:52こうして神はおのれの民を羊のように引き出し、
彼らを荒野で羊の群れのように導き、
78:53彼らを安らかに導かれたので
彼らは恐れることがなかった。
しかし海は彼らの敵をのみつくした。
78:54神は彼らをその聖地に伴い、
その右の手をもって獲たこの山に伴いこられた。
78:55神は彼らの前からもろもろの国民を追い出し、
その地を分けて嗣業とし、
イスラエルの諸族を彼らの天幕に住まわせられた。
78:56しかし彼らはいと高き神を試み、これにそむいて、
そのもろもろのあかしを守らず、
78:57そむき去って、先祖たちのように真実を失い、
狂った弓のようにねじれた。
78:58彼らは高き所を設けて神を怒らせ、
刻んだ像をもって神のねたみを起した。
78:59神は聞いて大いに怒り、
イスラエルを全くしりぞけられた。
78:60神は人々のなかに設けた幕屋なる
シロのすまいを捨て、
78:61その力をとりことならせ、
その栄光をあだの手にわたされた。
78:62神はその民をつるぎにわたし、
その嗣業にむかって大いなる怒りをもらされた。
78:63火は彼らの若者たちを焼きつくし、
彼らのおとめたちは婚姻の歌を失い、
78:64彼らの祭司たちはつるぎによって倒れ、
彼らのやもめたちは嘆き悲しむことさえしなかった。
78:65そのとき主は眠った者のさめたように、
勇士が酒によって叫ぶように目をさまして、
78:66そのあだを撃ち退け、
とこしえの恥を彼らに負わせられた。
78:67神はヨセフの天幕をしりぞけ、
エフライムの部族を選ばず、
78:68ユダの部族を選び、
神の愛するシオンの山を選ばれた。
78:69神はその聖所を高い天のように建て、
とこしえに基を定められた地のように建てられた。
78:70神はそのしもべダビデを選んで、
羊のおりから取り、
78:71乳を与える雌羊の番をするところからつれて来て、
その民ヤコブ、その嗣業イスラエルの牧者とされた。
78:72こうして彼は直き心をもって彼らを牧し、
巧みな手をもって彼らを導いた。


ローマ

第10章

10:1兄弟たちよ。わたしの心の願い、彼らのために神にささげる祈は、彼らが救われることである。10:2わたしは、彼らが神に対して熱心であることはあかしするが、その熱心は深い知識によるものではない。10:3なぜなら、彼らは神の義を知らないで、自分の義を立てようと努め、神の義に従わなかったからである。10:4キリストは、すべて信じる者に義を得させるために、律法の終りとなられたのである。
10:5モーセは、律法による義を行う人は、その義によって生きる、と書いている。10:6しかし、信仰による義は、こう言っている、「あなたは心のうちで、だれが天に上るであろうかと言うな」。それは、キリストを引き降ろすことである。10:7また、「だれが底知れぬ所に下るであろうかと言うな」。それは、キリストを死人の中から引き上げることである。10:8では、なんと言っているか。「言葉はあなたの近くにある。あなたの口にあり、心にある」。この言葉とは、わたしたちが宣べ伝えている信仰の言葉である。10:9すなわち、自分の口で、イエスは主であると告白し、自分の心で、神が死人の中からイエスをよみがえらせたと信じるなら、あなたは救われる。10:10なぜなら、人は心に信じて義とされ、口で告白して救われるからである。10:11聖書は、「すべて彼を信じる者は、失望に終ることがない」と言っている。10:12ユダヤ人とギリシヤ人との差別はない。同一の主が万民の主であって、彼を呼び求めるすべての人を豊かに恵んで下さるからである。10:13なぜなら、「主の御名を呼び求める者は、すべて救われる」とあるからである。
10:14しかし、信じたことのない者を、どうして呼び求めることがあろうか。聞いたことのない者を、どうして信じることがあろうか。宣べ伝える者がいなくては、どうして聞くことがあろうか。10:15つかわされなくては、どうして宣べ伝えることがあろうか。「ああ、麗しいかな、良きおとずれを告げる者の足は」と書いてあるとおりである。10:16しかし、すべての人が福音に聞き従ったのではない。イザヤは、「主よ、だれがわたしたちから聞いたことを信じましたか」と言っている。10:17したがって、信仰は聞くことによるのであり、聞くことはキリストの言葉から来るのである。10:18しかしわたしは言う、彼らには聞えなかったのであろうか。否、むしろ
「その声は全地にひびきわたり、
その言葉は世界のはてにまで及んだ」。
10:19なお、わたしは言う、イスラエルは知らなかったのであろうか。まずモーセは言っている、
「わたしはあなたがたに、
国民でない者に対してねたみを起させ、
無知な国民に対して、
怒りをいだかせるであろう」。
10:20イザヤも大胆に言っている、
「わたしは、わたしを求めない者たちに見いだされ、
わたしを尋ねない者に、自分を現した」。
10:21そして、イスラエルについては、
「わたしは服従せずに反抗する民に、
終日わたしの手をさし伸べていた」
と言っている。


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